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夜明け前
2004Ｊリーグ　ディビジョン２　第32節　湘南ベルマーレvs横浜ＦＣ

2004年9月4日（土）19:01キックオフ　平塚競技場　観衆：4,320人　天候：雨
試合結果／湘南ベルマーレ　０−０　横浜ＦＣ


文／森内　英

　欲しい場面で得点が奪えない。この試合でも、湘南は今季の課題が浮き彫りになった。

　前半はプラン通りに進んだ。自陣で人数をかけてボールを奪取すると、一旦サイドに散らし少ないタッチで相手ゴール前まで運ぶ。13分、18分とＦＷ柿本がスペースに走り込み、立て続けに二度の決定機を作った。

　しかし、後半15分過ぎから状況が一変する。急速に運動量が低下すると、主導権を横浜ＦＣに握られる。間延びしたＭＦとＤＦ、２ラインの間隙を途中出場のＦＷ北村（登録はＭＦ）、右ＭＦ大友に突かれると再三ピンチを招いた。終盤、湘南はフレッシュなＭＦ加藤、坂本を両翼に配して反撃を試みるも、ついにゴールを割ることはできなかった。

　しっかり守って速攻。一時は皆無だった攻撃の型も、望月監督代行が就任以来、確立されつつある。だが戦術上、選手たちにかかる体の負荷はあまりにも大きい。毎試合、後半に起こる息切れ。攻守における全力疾走と低位置からの上下動は、時間の経過とともに体力を蝕んでいく。

　ロスタイム。ふと、柿本を見る。顔が苦痛に歪んでいる。足が止まりそうになりながらも、パスの出し手にプレスを掛ける。そして最後のチャンス、折れる気持ちを振り払い懸命に前線に駆け上がる。間違いなく言える。歯をくいしばっているのは彼一人ではない。勝ち点３は遠くとも、獲得する術の探求を湘南はまだ放棄していない。